リコー 損保ジャパンの保険業務に特化したプライベートLMMを共同開発開始 日本の業務環境や文書形式に対応した国産のLMMで「AIがすべてを理解する」世界の実現に

株式会社リコーと損害保険ジャパン株式会社は、保険業務に適したプライベートなマルチモーダル大規模言語モデル(LMM)の共同開発を開始した。
この取り組みは、経済産業省および国立研究開発法人NEDOが主導する「GENIAC(Generative AI Accelerator Challenge)」プロジェクトの一環として実施されるものである。

マルチモーダルAIとは何か

LMMは、テキストだけでなく画像・音声・動画など、複数形式のデータを一括処理できるAI技術であり、視覚情報や構造化データに基づく情報処理能力に期待が集まっている。スクリーンショットの要約や図表を交えた質疑応答など、多様なユースケースに対応可能な点が特徴である。

業務特化型LMMで保険業務のデジタル化を加速

リコーは、GENIACにおいて日本企業が利用可能なLMM開発に注力しており、文書・帳票の効率的活用によるイノベーション創出を目指している。一方、損保ジャパンでは、保険業務における規定・マニュアル・Q&Aをもとに照会対応を自動化する「おしそんLLM」を試験運用しており、業務のさらなる省力化に取り組んでいる。

しかし、日本独自の帳票や複雑な図表への対応が求められる中、既存のLLMでは十分な精度が出ないケースも多く、業務の現場ではデータ根拠に基づく回答精度の向上が喫緊の課題とされている。

共同開発の内容と今後の展開

リコーと損保ジャパンは、実際の保険引受規定やマニュアルを学習させたプライベートLMMを共同開発。対象データや実際のユースケースに基づき、性能検証を実施する予定。

今後は、対象範囲の拡大も視野に入れ、より高度な業務支援を可能とするAIモデルの発展を検討していくとしている。

生産性向上と創造的な働き方の実現へ

両社は、最先端テクノロジーを活用することで働く人の生産性を高め、創出された時間を新たな価値創出に充てる働き方の実現を目指している。日本の業務環境や文書形式に対応した国産のLMMを共同開発することで、「AIがすべてを理解する」世界の実現に向けた一歩と位置付けている。

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