ラベル循環協会 年間廃棄量約9万3000tのラベル台紙を再資源化へ リサイクルのための適正ルートを構築し実証実験を開始
一般社団法人ラベル循環協会(以下「J-ECOL」)は、適正分別とリサイクルのための適正ルートを構築し、さらにリサイクル資源生産までの履歴をデジタル情報化してラベル台紙の回収及び再利用を可能にする実証実験を開始した。
実証実験の期間は11月18日(月)から1月31日(金)まで、J-ECOLの会員企業である株式会社サンエー化研、TOPPANエッジ株式会社、株式会社DNPデータテクノ、株式会社サトー、株式会社日誠産業、日本製紙グループなど9社が参画し行っている。
■ラベル台紙の現状
シール・ラベルの粘着面を保護するためのラベル台紙は、各企業の努力により、リサイクルや削減の取り組みが行われている。しかし、サプライチェーン全体での仕組みが整っておらず、その多くが廃棄による処分がされている。また、シール・ラベル製品の半分はラベル台紙でできており、流通量は日本国内だけでも年間約9万3000tに及ぶ。
■ラベル台紙の資源価値
ラベル台紙は有価物として扱われることが難しい資源。鉄スクラップやプラスチック類など、相対的・相場的な意味合いで売買が可能(有価取引)な商品やスクラップであれば有価物としての価値はあるが、ラベル台紙は古紙にあたるため原料として価値が低い。しかしラベル台紙を排出する企業が適切に分別し、マテリアルリサイクルの適正ルートに乗せることで、さまざまな紙製品にリサイクルでき、資源の有効活用とCO2削減につながると考えている。
これらを廃棄することなく有効活用するには、製紙会社などと企業連携し、リサイクルの体制を整え、シール・ラベル製品を使用する各企業においてもリサイクルに向けた運用の見直しを並行して行う必要がある。
■実証実験
この実証実験は、ラベル台紙のリサイクルにおける課題をサプライチェーン全体で解決する取り組みとなっている。
目的はサプライチェーンでのマテリアルリサイクル(廃棄物を新たな製品の原料として再利用するリサイクル)の確立、国内のラベル台紙の出荷量やリサイクル率の把握、ラベル台紙が確実にリサイクル原料として使われるエビデンスの取得、回収・リサイクル・再生資源の出荷までのデータを用いた環境負荷(GHG)の可視化。 ラベル台紙の排出企業、古紙回収の中間処理企業、リサイクラー企業が連携してラベル台紙の回収から再資源のスキームを実際に運用。回収から再資源化までの過程や資源量などをデジタル化し、データをクラウドシステムに蓄積・可視化して消費または廃棄までを追跡可能な状態にする。そして取得データをもとに効率的なリサイクルに向けた運用の検証をする。
■具体的なラベル台紙の廃棄状況情報の取得手順
1.J-ECOL協会事務局で完全単品IDのQRコードを発行
2.排出企業は受け取ったQRコードを読み取り、ラベル台紙を発送時にQRコードを貼り付け
3.古紙業者が受け入れ時と、加工後の発送時にQRコードを読み取る
4.リサイクラー企業で受け入れ時にQRコード読み取る
実証実験および検証後には、このたびの仕組みをシール・ラベル製品のサプライチェーン全体に定着させ、年間約9万3000tのラベル台紙を確実に再資源化することを目指す。また、環境に配慮したシール・ラベル製品を次世代につなげるべく、ラベル台紙の削減と再資源化を推進する。