フォーム工連 「フォーム印刷業界の現状と課題に関する調査」報告
日本フォーム印刷工業連合会(以下、フォーム工連)は、11月13日、日本印刷会館で「フォーム印刷業界の現状と課題に関する調査報告及びサスティナビリティ経営とソーシャルマーケティング」セミナーを開催した。セミナーでは、毎年、フォーム工連が行っているアンケート調査「フォーム印刷業界の現状と課題に関する調査報告」として、フォーム工連市場調査委員会の石井啓太委員長が解説。それに引き続き、㈱朝日エルの岡山慶子会長による講演「サスティナビリティ経営とソーシャルマーケティング」が行われた。
「フォーム印刷業界の現状と課題に関する調査」は、毎年、会員各社からアンケート調査の形式で行っているもの。今回の調査では、2016年度実績について、前年度(2015年度)実績と比較して回答を求めている。
それによると、売上高に関して「ほとんど変わらない」という回答が2年連続で増加し、9割に迫る数値であった。経常利益についても、「10%以上・20%以上増加」という企業は21.0%で、2年連続で若干増加した。
なお、商品群別の売上高では、フォーム印刷分野は、「ほとんど変わらない」という企業が8割。DPS/情報処理関連分野も「ほとんど変わらない」が5割を超え、最も多くを占めた。その他の分野(商業印刷など)については、全体として横ばいである。なおBPO分野については、回答企業のうち52.7%が取り組んでいるなど、昨年度より増加しており、売上高についても増加もしくはほとんど変わらないという結果だった。
売上高に影響を与えた要因については、プラス要因で最も多かったのが「新規開拓が好調」でついで「得意先の業績が上向いた」だった。マイナス要因については、「価格競争」が依然としてもっとも多く、次いで「IT導入、法制度改革によるペーパーレス化、電子帳票など」だった。
一報、利益に影響を与えた要因については、プラス要因では「経費の削減」が最も多い。マイナス要因では「売上高の減少」と「得意先からのコスト削減要請増加」が多かった。
課題についても聞いており、「生産性効率の向上」「営業力・スキルアップ」「新規事業の立ち上げ・新分野参入」「人手不足」と続く。中でも「人手不足」については、「営業職」よりも「工場作業者」が不足しているという回答が上回っていること、「管理職」の不足も増加しているなど、全体として人材が不足していることが明らかとなった。
なお、興味ある分野として「DPS」と「シール製品」分野が挙げられているが、これを支えるためには「マーケティング」や「データベース構築」が必要であることも調査結果として表れた。
なお同調査報告書では、『経済産業省は「Connected Industries」の推進を発表しているが、印刷産業も日本で大きく立ち遅れているインターネット社会の推進に積極的に取り組み、「Connect」することにより、新しい生産の仕組みや、新しい市場を創り上げ、情報サービス産業として、ビジネスの変革を求めていきたい』と、まとめている。
調査結果報告に続き行われた講演会「サスティナビリティ経営とソーシャルマーケティング」では、朝日エルの岡山会長がサスティナビリティ経営について語った。特に最近は、社会的価値という観点からも、企業がサスティナビリティに着目するようになっているという。セミナーでは、ものづくりにおいて、品質を高めて再生可能とするものをつくり、自然に溶け込んだデザインをし、再生したときに加工に使った材料よりも良くなることを目指す、といったサスティナビリティ(持続可能性)の考え方や、取り組みポイントについても、わかりやすく解説した。