ハイデルベルグ社 独・M&E社が新デジタルプラットフォーム「ザイキョウ」でデジタル購買の最適化へ
ハイデルベルグ社は、マインダース&エルスターマン印刷会社(M&E社)ならびに大手製紙会社のザッピ社と共に、今夏発表されたデジタルプラットフォーム「ザイキョウ(Zaikio)」の試験的運用を始めた。
「ザイキョウ」は、印刷会社のITシステムとサプライヤーのシステムを接続することで、印刷会社とサプライヤーを自動的に繋げるというもの。M&E社とザッピ社は、同プラットフォームを使用して、用紙のデジタル調達プロセスの最適化に乗り出した。
M&E社の注文は、同社が活用している経営情報システム(MIS)のプリネクトビジネスマネージャーに集約され、実際の価格で注文が記録される。これらの注文は、調達スタッフによる承認後、ザッピ社のERPシステムに直接転送され、在庫状況や配送オプションの情報が注文システムに相互的に送られる。
このプロセスは、実際の用紙の使用量や在庫状況などの様々な要因に基づき、完全に自動化された注文の基礎を築くことになる。M&E社は、パイロットカスタマーとして「ザイキョウ」のプラットフォームのさらなる開発に欠かせない重要なフィードバックを提供している。
M&E社にとって、プロセスを最適化して競争力を維持することはつねに焦点となっている。ドイツ北部のオスナブリュック近郊に位置するベルム工場では、約150人の従業員が製品の生産に携わっている。これまでも最新のハイデルベルグのテクノロジーを活用し、非常に効率的な生産を行ってきたが、最近、M&E社とオルトマイヤーメディア社が合併し、2カ所の製造拠点と200人の従業員が加わったことで、さらなる自動化とプロセスの改善が求められていた。そうした中、最も重要なサプライヤーであるザッピ社に、多数の用紙を注文している。
一方、ザッピ社は、持続可能な木質繊維製品とソリューションの世界的なプロバイダーであり、ヨーロッパにおけるグラフィックペーパーのマーケットリーダーである。同社は溶解パルプ、包装紙、特殊紙、キャスティングペーパー、リリースペーパー、バイオマテリアル、バイオエネルギーなどを製造。年間約500万トン以上の紙を製造し、150か国以上で販売されている。
M&E社とザッピ社の両社にとって、多数の調達プロセスを完全に自動化かつデジタル化することは生産性を向上させ、コストを削減するための重要な手段となる。
「ザイキョウ」は、用紙に限らず、印刷会社におけるインキやプレートなどの消耗品の総合的な調達プロセスを、デジタル化で改善することを目指している。サプライヤーと顧客、あるいは印刷会社を商業的な関与をせずに結び付ける。「私たちは仲介者であり、この立場を維持したいと考えています」とハイデルベルグ社においてザイキョウのマネージングディレクターであるマティアス・プリンツ氏は語る。「調達プラットフォームは、特にプラットフォームがバックグラウンドで機能し、既存のプロセスやソフトウェアにシームレスに統合されている場合に効果的です。私たちとビジョンを共有するすべての一般的なMISにザイキョウを統合したいと考えています」。
調達プロセスのデジタル化は、電話、FAXあるいはメールによる注文プロセスや価格の問い合わせが不要になるなど、多くのメリットをもたらす。価格は配達状況や倉庫の通知などと同様に自動的に照会され、カスタマーアドバイザーは時間を大幅に節約し、顧客対応により集中することができるようになる。
印刷業界向けの新しいオープンで独立したクラウドベースのコラボレーションプラットフォームとして、2020年夏に立ち上げた「ザイキョウ」は、会社の境界を越えて完全に自動化され統合されたプロセスを確立し、印刷会社、ソフトウェアプロバイダー、装置メーカー、サプライヤー間のワークフローとトランザクションをシンプルにすることを目的としている。ひとつのプラットフォーム上ですべての業界のプレーヤーを統合し、無料のアカウントで全てのユーザーが、1回のログインで、接続されているすべてのソフトウェアシステムにログインできる。
すでに1,000人以上が「ザイキョウ」の個人アカウントを作成し、プラットフォームに登録している。
「ザイキョウプロキュアメント」についてはウェブサイトから情報を得ることができる。