ハイデルベルグ デジタル水性インクジェット印刷システム「ジェットファイア50」をスイスとドイツの会社に導入
独ハイデルベルグはスイスのグレムパー社(Gremper AG)に新しい産業用インクジェットシステム「ジェットファイア50」の世界第一号機を提供し、3月末からグレムパー社で稼働する。同システムは、特に高品質な印刷に使用され、多くはパーソナライズされた製品に使用される。グレムパー社はまた、最新世代のスピードマスターXL106-8-P+Lの試運転も行っており、ハイブリッド生産環境における総合的な生産能力拡大につながる。
「デジタル印刷システムについては、競合他社との交渉がまとまりかけていました。しかし、drupa 2024でハイデルベルグは、プリネクトのワークフローに統合されたジェットファイア50を発表し、これがすべてを変えました!まさに私たちが待ち望んでいたものでした」と、カール・グレムパー取締役会長は決断の経緯を説明した。
また、持続可能な水性インクの使用と、ジェットファイヤシステムのサービスを提供していることも購入の決め手となった。「テストの結果、ジェットファイアの印刷品質は、当社の長年のパートナーであるハイデルベルグのオフセット印刷のレベルに匹敵することがわかりました。最終的に私たちを納得させたのは、両テクノロジーの包括的なポートフォリオでした」と、CEO兼取締役会代表のチルギア・グレンパー氏は語った。
ハイブリッドプリントプロダクションがグレムパー社の市場地位をさらに強固に
グレムパー社は、スイスの芸術・文化分野の顧客から絶大な信頼を得ているハイエンド分野を専門としている。ハイデルベルグの新しいジェットファイアと2台のバーサファイアシステムを含む、オフセットとデジタル印刷システムを組み合わせたハイブリッド生産環境に投資することで、同社は市場での地位を拡大する。この投資により、グレムパー社は、さまざまな表面加工を行った4色の大量印刷でも、カスタマイズされた内容の小ロット印刷でも、最高品質の結果を効率的に生み出すことができるようになる。
プリネクトソフトウェアがマインダース&エルスターマン社の決め手に
一方ドイツでは、オスナブリュックのマインダース&エルスターマン社が最初にジェットファイア50を導入し、4月からの稼働を予定している。同社は、新しいジェットファイアを使用して高品質の小ロット生産やパーソナライズされたメーリングの生産を計画している。この製品分野は急速に成長しており、標準化された自動生産に最適となっている。
同システムの導入に至る決め手となったのは、プリネクトワークフローの統合、特に近々リリースされる予定のプリネクトタッチフリーソフトウェアで「オフセット印刷とデジタル印刷の生産工程を完全に自動制御することが、収益性の高い印刷生産の鍵となります。プリネクトにより、ハイデルベルグは、厳しい市場環境で競争力を維持するために必要なハイブリッド生産ワークフローをサポートしてくれます」と、同社CEOのイェンス・ラウシェン氏は説明した。ラウシェン氏は、プリネクトタッチフリーのクラウドベースの自動化ワークフローを使用することで、オフセットとデジタルシステムを最大限に活用できると期待している。さらに「プリネクトタッチフリーのようなソフトウェアソリューションは、膨大な受注を計画し、生産プロセスを効率的に進めながら、コストを抑え、納期を守ることを可能にします」と、述べている。
商業印刷およびパッケージ印刷を扱うマインダース&エルスターマン社はドイツ国内に5つの拠点を持ち、何世代にもわたるハイデルベルグのユーザーで、バリューチェーン全体にわたるデジタル化と自動化に関して、業界のリーダー的存在と評価されている。
スイスのシュミット・フェール社ではプリネクトが主役
シュミット・フェール社は今春、2台の大型トナーシステムに加え、スイスで2番目のジェットファイア50を稼働することを予定している。現在、枚葉オフセット印刷で生産されている多くの小ロット印刷は、将来的にハイデルベルグのインクジェットシステムに切り替わる。
ジェットファイア50の導入は、印刷生産をプリネクトテクノロジーに完全に統合するプロセスにおける必然的な流れとなっている。「ジェットファイア50がプリネクトに完全に統合されていることは、ハイデルベルグが提供する包括的なシステムの最大の利点です」と、シュミット・フェール社のオーナー兼CEOのマティアス・シュミット氏は述べている。さらに「私たちは、プロセスのエンドツーエンドのデジタル化と自動化に向けて、また新たな大きな一歩を踏み出しました」と、シュミット氏は続けた。
ハイデルベルグは成長する産業用デジタル分野におけるビジネスチャンスを最大限に活用
「ハイデルベルグの新しいデジタル印刷ポートフォリオに対する市場の需要は依然として非常に高く、drupa 2024で発表したように、今春、ジェットファイア 50の第1号機をお客様に納入する予定です。オフセット印刷とデジタル印刷システムを1つのワークフローに統合するハイブリッドアプローチは、お客様に競争優位性をもたらします。また、ハイデルベルグがコアビジネスの成長戦略に関して設定したターゲットを達成する上で、着実に前進していることも示しています」と、ハイデルベルグのテクノロジー&セールス部門最高責任者ダヴィッド・シュメディング博士は述べている。
市場評価によると、サービスや消耗品を含め、ハイデルベルグが参入しているグローバルなデジタル印刷市場は、現在の約50億ユーロから2029年には75億ユーロに拡大すると見込まれている。そのため、同社はインクジェットとトナーの分野の両方で製品ラインナップを拡大した。これにより、デジタル印刷ソリューションの売上が大幅に増加することを見込んでいる。