トーハン、日販 出版流通ネットワークの維持にむけ物流の協業に合意
トーハンと日本出版販売(日販)は、2018年11月7日に締結した物流協業の検討を開始する基本合意書に基づき、両社間における物流協業の可能性について、合意に至ったと発表した。
合意に至った経緯と背景について両社は、「2018年11月より物流協業に関する検討を開始したが、この間も出版市場を取り巻く環境は厳しさを増し、もはや従来の構造のまま出版流通ネットワークを維持することは不可能な状況であり、大胆な改革が必要となっている。自由かつ多様性に富んだ出版文化は社会の発展に必要不可欠のものであり、両社は物流協業を通じて業務の効率を高め、今後とも出版文化の発展に寄与してまいりたいと考えている」と述べる。
合意内容としては、「雑誌返品処理業務」「書籍返品処理業務」「書籍新刊送品業務」の3業務について協業を進める。この合意を皮切りに、2020年度以降順次、該当業務について両社が保有する物流拠点の統廃合を実行に移し、効率的な出版物流の実現を目指す。
今後、両社メンバーにより、協業実行委員会および3業務それぞれを担当する実行委員会を設け、物流協業の具体化に向けた検討に移る。また雑誌送品業務は、総コストにおける輸配送運賃の割合が約7割と大きく、物流拠点の統廃合や相互活用だけでは協業効果を生み出しにくいため、引き続き両社でサプライチェーン全体の効率化を視野にゼロベースで検討していく。
目指す将来像については、協業により物流の効率性を高め、出版取次会社としてサービスの維持向上を図り、マーケットイン型の出版流通ネットワークの実現を推進するとしている。
なお、物流協業の具体化を進めるにあたり、トーハン・日販各社で引き続き独占禁止法遵守の観点から機微情報の厳密なコントロールを行うことに変更はなく、必要に応じて公正取引委員会への報告・相談を行うという。