キヤノン 第33回地球環境大賞にて最高位となる「地球環境大賞」を受賞 世界で初めて実用化したナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術を使用した半導体製造装置が高く評価される

キヤノン株式会社は株式会社産業経済新聞社が主催する第33回地球環境大賞において、「近未来デジタル社会を支える最先端半導体デバイス製造において消費電力削減・環境負荷低減を実現する『ナノインプリントリソグラフィ』技術~カーボンニュートラルに向けた社会課題解決への挑戦~」が、最高位となる「地球環境大賞」を受賞した。
地球環境大賞は1992年に「産業の発展と地球環境の共生」を目指し、産業界を対象とする顕彰制度として、公益財団法人世界自然保護基金(WWF)ジャパンの特別協力を得て創設された表彰制度となっている。

近年ではAI(人工知能)や5Gなどを活用したデジタル社会が急速に発展。その中でスマートフォンやパソコンなど身の回りのあらゆるところに最先端半導体デバイスが使用されている。多くの情報量が必要な最先端半導体デバイスを製造する上では、ウエハー上の同じ面積内に数多くの回路を描写することが必要となり、回路の線幅を細くしていく「微細化」が求められている。この微細な回路パターンを形成するリソグラフィ工程で重要な役割を担うのが半導体露光装置となる。

キヤノンは、投影露光技術とは異なる方式で回路パターンを形成するナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術を使用した半導体製造装置を世界で初めて実用化し、2023年に発売した。従来の半導体露光装置が、ウエハー上に塗布されたレジスト(樹脂)に光を照射して回路を焼き付けるのに対し、NIL技術を使用した半導体製造装置は、ウエハー上のレジストに回路パターンを刻み込んだナノレベルのマスク(型)をハンコのように押し付けて回路パターンを形成する。
一方、最先端半導体デバイスの需要増加に伴い、半導体デバイス製造にかかるエネルギーの省力化が、グリーン社会の構築に向けた喫緊の課題となっている。NIL技術は光源の波長による微細化を必要としないため、従来の露光技術方式と比べて製造プロセスの消費電力を約10分の1に大幅に削減。さらに現像工程が不要で廃液などの排出削減にもつながっている。

ナノインプリントリソグラフィ技術を使用した半導体製造装置
「FPA-1200NZ2C」

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