アドビ フェイク情報への懸念と生成AIの影響についてのグローバル調査実施、公平な選挙にはデジタルコンテンツの信頼性向上が不可欠

アドビ社は、6月25日、フェイク情報への懸念と生成AIの影響についてのグローバル調査「Future of Trust Study」の、日本を含む調査結果を発表した。これは、6月27日のメディアリテラシーの日、およびアメリカ大統領選に向けて、デジタルコンテンツの信頼性向上に対する意識が高まっている中、アドビの取り組みを調査結果とともに紹介しているもの。それによると、
・米国80%、日本73%の人々は誤情報や有害なディープフェイクが選挙に影響を与えると信じている
・米国84%、日本83%が、オンラインで消費するコンテンツが改ざんされやすく誤情報になることに懸念を表明
・米国88%、日本77%がデジタルコンテンツの信頼性を検証するためのツールが必要と感じている
・デジタルエコシステムの信頼性の向上に取り組む団体、CAI(コンテンツ認証イニシアチブ)に参加する企業団体は3,000社以上
といったことが明らかとなった。

公平な選挙に対するデジタルコンテンツの影響力

アドビは、米国、日本、欧州を含む世界6,000人以上の消費者を対象に、インターネット上でフェイク情報に遭遇した経験や、生成AIがもたらす影響への懸念などについて、グローバル調査「Future of Trust Study」を実施した。この調査は、アドビの責任あるイノベーションに関する取り組みの一環であり、デジタルコンテンツの信頼性を検証するツールに対する消費者のニーズの高まりと、誤情報が各国の選挙の公正性に及ぼす影響について積極的な対策が急務であることを浮き彫りにしている。
特に、目前に控えた米国大統領選挙に向けて、過熱する両陣営の選挙戦・情報戦に世界の注目が集まる中、同調査結果は公平な選挙におけるデジタルコンテンツが担う影響力について、世論の声を示す一つのベンチマークとなるとしている。

この調査の主な結果は次のとおり。
まず、近年オンライン上で情報の透明性を確保することが困難になり、消費者は誤情報が拡散することについての危機感が浮き彫りとなっている。
・多くの消費者(米国70%、日本68%)が、オンラインで接するコンテンツが信頼できるかどうかを確認することが難しくなっていると述べている。
・ほとんどの回答者(米国84%、日本83%)が、オンラインで接するコンテンツが改ざんされやすく誤情報になることに懸念を表明している。
・オンライン上の情報に対する透明性への関心はより高まっており、過半数以上の回答者(米国 76%、日本57%)が、コンテンツが生成AIで作られたかどうか判別できることが重要であると回答している。

デジタルコンテンツへの信頼が低下する中、消費者は選挙の公正性の担保に懸念を抱いている。
・今年は世界各国で重要な選挙が行われ、40億人以上の有権者が選挙に参加することになる中、多くの消費者(米国80%、日本73%)が、誤情報や有害なディープフェイクが将来の選挙に影響を与えるだろう、と考えていることがわかった。
・閲覧しているオンラインコンテンツが真実かどうかを判断するためのツールが普及していないため、選挙候補者がプロモーションコンテンツに生成AIを使用することを禁止すべきと、多く(米国78%、日本61%)が回答している。
・消費者の大多数(米国83%、日本72%)は、政府とテクノロジー企業が協力して、ディープフェイクや誤情報から選挙の公正性を守るべきだと考えている。

コンテンツを共有する前に、情報源の信頼性を確認する際、消費者はコンテンツが真実であるかどうかを確認するためのツールとメディアリテラシースキルを持つことが重要であると考えている。
・多くの消費者(米国88%、日本77%)は、オンラインコンテンツが信頼できるかどうかを確認するための適切なツールが不可欠であると考えている。
・誤情報に対する懸念は、それが子どもに及ぼす潜在的な影響についても及んでおり、ほとんどの消費者(米国84%、日本78%)が、学校のカリキュラムの一環としてメディアリテラシーを子供たちに教えるべきだと答えている。

生成AIの安全な利用と、デジタルコンテンツの信頼性向上へ

アドビの同調査により、オンライン上の誤情報やディープフェイクに関する懸念、および生成AIがデジタルコンテンツの透明性に与える影響について、世界で関心が高まっていることが明らかになった。

アドビは以前より、説明責任、社会的責任、透明性というAI倫理原則に従い、AIを開発してきた。その中で、コンテンツがどのように作成、変更、公開されたかの重要な情報を提供し、改ざん検知を可能にする、いわば「成分表示ラベル」のような役割のメタデータであるコンテンツクレデンシャルの普及に取り組んでいる。
また、アドビは、デジタルエコシステムの信頼性の向上のために2019年 Content Authenticity Initiative(コンテンツ認証イニシアチブ:CAI)を設立している。

現在、CAIはテック、政策、およびメディアに関連する企業、クリエイティブプロフェッショナル、研究者など3,000以上のメンバーを擁するグローバル組織に成長し、デジタルコンテンツに透明性を持たせるために協力している。今後日本でも、多くのメディアや企業の参加を期待している。

なお、アドビのエグゼクティブバイスプレジデント、ゼネラルカウンシル兼チーフトラストオフィサーであるダナ・ラオ(Dana Rao)氏は次のように述べている。
「アドビは、AI技術の商用展開を進めるリーダーとして、クリエイティビティと生産性を変革する生成AIの力に大きな期待を寄せる一方、AI技術が社会に及ぼす影響について長い間考えてきました。この調査結果が明確に示しているように、ディープフェイクの危険性について消費者がリテラシーを向上し、何が真実であるかを理解するためのツールを提供することが重要です。選挙が近づいている今こそ、コンテンツクレデンシャルのような保護技術を採用して、私たちが接するデジタルコンテンツへの信頼を回復する時です。」

アドビの責任あるイノベーションに関する取り組みについて
 https://www.adobe.com/jp/ai/overview/ethics.html

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