アグフアユーザー会が3年ぶりのリアル開催、経営革新につながる情報を提供~共進ペイパー&パッケージ 鍛冶川氏が「オフセットの逆襲」テーマに講演

日本アグフア・ゲバルトはpage2023会期中の2月1日、サンシャインシティコンファレンスルームで第38回アグフアユーザー会を開き、経営革新、技術革新につながる情報を提供した。

アグフアユーザー会会場

挨拶でアグフアユーザー会の西川誠一会長(ニシカワ代表取締役社長)は、「コロナ禍とウクライナの問題が続いており、業種、業界が違う中でも皆様、ご苦労されていることと思う。ユーザー会が発足して21年を迎えた。当初、PDFワークフローユーザーが集まりスタートしたが、アグフア製品の拡充とともに、大判プリンタやパッケージなどユーザー層が広がってきたため、4年前にアグフアユーザー会に名称を変更した」と、ユーザー会の経緯を説明。「当社はオフセット輪転印刷を営み、昨年70周年を迎えた。激変の時代を迎えており、新聞購読数、折り込みチラシが減り、この業界も淘汰が進んでいる。我々が世の中に必要とされるためには何を提案すれば良いのか問われている。本日はそのヒントが得られる講演になると思う。こうして一堂に集い、共通の課題に対して共同で取り組めるマインドが醸成できればと考えている」とユーザー会の意義を強調した。

アグフアユーザー会の西川会長
日本アグフア・ゲバルトの岡本社長

日本アグフア・ゲバルトの岡本勝弘社長は挨拶で昨年を振り返り、コロナ禍・ウクライナ問題による歴史的なアルミ価格の高騰やアルミ不足に触れ、既存ユーザーへのプレートの安定供給を最優先したこと、現在、アルミ不足が緩和され、新規営業を再開して成果が表れていることを報告した。また、昨年、独・アウレリウスグループへのアグフアオフセット事業の譲渡に伴い、全世界で4月から5月頃に企業ブランド変更、日本アグフア・ゲバルトの体制継続、製品のブランド継続を説明した。

続いて日本アグフア・ゲバルト経営企画室の高坂哲也氏は「ANTWERP CONNECT 2023」と題し、欧州印刷市場と世界の印刷市場の動向を分析した。その中でドイツと日本の印刷市場がほぼ同じ規模にあるのに対し、日本の従業数はドイツの3.8倍で、生産の自動化の進展に差があることを指摘。その上でファクトリーオートメーションを進めるアポジー・オートメートやRoboticなどのアグフアのソリューションを紹介した。

講演会ではやさしいビジネススクール学長の中山功一氏が「データと理論で確認する、現代日本での高成長企業の作り方“PRIMAL”」を演題に、生産性を高める6つの要素を説明した。中山氏は生産性を高めるポイントとして従業員のモチベーション=笑顔を挙げ、①成果にコミットメントする報酬体系、②現場へのエンパワーメント、③現場でのイノベーション実現、④ヨコのコミュニケーション、⑤技能的多様性、⑥従業員の精神的レジリエンスの6つの要素を挙げ、一つずつ解説。6つの要素と、社会に役立つ企業の売上・利益、学び続けることの大切さ、仕事とプライベートの好循環など、働くことの意識と定義づけを紐づけていった。

ユーザーの取り組みとして、共進ペイパー&パッケージ代表取締役社長の鍛治川和広氏が「オフセットの逆襲」を演題に、オフセット印刷事業の強化の背景と、現在展開中のWebサービス、今後のビジネスを説明した。同社の事業は印刷紙器、段ボール、ハコプレ(Web関連サービス)、海外事業で構成されている。Web上で小ロットのパッケージが発注できるハコプレ事業の伸長に合わせて、これまでデジタル印刷関連への投資に力を入れてきた同社では、既存の印刷紙器、段ボールも含めたポートフォリオ経営に舵を切った。そのきっかけとなったのがデジタル化された最新鋭オフセット印刷機の導入で、既設のB1デジタル印刷機の領域をほとんどカバーできたほか、既存事業の梃入れに成功。これによりコロナ前の2019年比で、2021年の売上が115%とV字回復している。加えて新たに印刷会社向けの厚紙印刷サービスや、7色印刷による脱特色などにつながっている。

今後は紙袋サービスの強化、紙製ファイルサービスの開始、API連携による製造受託、アプリと連動したメニュー印刷などに取り組むという。最後に鍛治川氏は「当社は諦めの悪い企業」と述べ、最後の一押しまで徹底する企業文化を強調した。

共進ペイパー&パッケージの鍛治川社長

同社は今年もSublima+コンテンスト2022-2023審査会を開催。今回は過去最高の76作品が応募され、1月12日に審査会で各賞を決定した。アグフアユーザー会では授賞式が行われ、各受賞者に岡本社長から記念の盾が贈られた。

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