もばらマーチング委員会 さくら印刷のコミュニティスペース「SAKURAGI」でマーチングアカデミー「成熟社会の地域イノベーション」を開催 地域DXで茂原の未来を再構築
地域DXがもたらす持続可能なまちづくりとは
地域課題の解決と住民主体のまちづくりを目指すもばらマーチング委員会は、4月8日、千葉県茂原市のコミュニティスペース「SAKURAGI」において、「マーチングアカデミー」を開催した。会場は株式会社さくら印刷が運営する地域連携型施設で、地域と企業の新たな共創の場として注目を集めている。
地域を描き、語り、動かす|もばらマーチング委員会の取り組みと理事長のメッセージ
「もばらマーチング委員会」は、平成30年に発足。東京・文京地区で「湯島本郷百景」を推進する湯島本郷マーチング委員会の理念を受け継ぐ地域版組織であり、茂原の風景や文化をイラストとして描くことで、市民の地域愛や誇りを育て、外部への情報発信ツールとして活用している。
マーチングアカデミー開会にあたり、理事長の井上雅博氏が登壇し、次のように挨拶した。
「地元の情景や地域への思いを“百景”という形で表現し、地域を元気にしたい。そのための具体的な方法を学ぶ場として、イノベーションのセミナーやワークショップを開いている」
地域の魅力を見つめ直し、表現し、それを基点に地域を活性化していくという、実践的な学びの場としてのマーチングアカデミーの意義が語られた。
地域イノベーションを語る|講師に並木将央氏を迎え講演会を実施
アカデミーでは、株式会社ロードフロンティア代表取締役の並木将央氏が講師として登壇。「成熟社会の地域イノベーションとは何か」をテーマに、地域活性化とDXの本質について語った。
同氏は、「DXは単なる業務の効率化ではなく、新しい価値の創出に焦点を当てるべき」と強調。特に、地域文化や風景を未来へとつなぐには、若年層が地域の魅力を体感し、“また戻ってきたい”と思える思想や情景を与えることが重要であると述べた。
コミュニティと経済の独立性|茂原の未来に必要な「地域エコシステム」
講演の中で並木氏は、地域が自立的に持続可能な発展を遂げるには、エネルギー・教育・医療・流通・食料などを軸にした独自の地域エコシステムの構築が不可欠であると指摘。「外部資本に依存せず、独自性を保つ“鎖国的発展”が地方には求められている」とし、コミュニティのあり方に新たな視座を投げかけた。
さらに、漫画『ワンピース』を引き合いに出し、「異なる目標を持つ者たちが共通の目的に向かって協力する構図こそ、理想の地域コミュニティの姿である」と表現。大企業依存ではなく、「1億円を稼ぐ中小企業を100社育てる」視点の重要性を説いた。
座談会で熱を帯びる議論|地域DXと未来の可能性を共有
さらに座談会では、参加者との活発な質疑応答が展開された。予定時間を超過するほど、会場は熱気に包まれ、地域の未来に対する高い関心と行動意欲がうかがえた。
「もばらマーチング委員会」の活動は、地域に根ざした情報・文化・経済のハブとして、今後も多方面から注目される存在である。