【IGAS2018】特別インタビュー 桜井グラフィックシステムズ・桜井隆太社長に聞く
桜井グラフィックシテムズは、IGAS2018に「Shape(シェイプ)」をテーマに出展する。会場では、『かたち』あるマーケティングソリューションを具体的に提案するために、「印刷→加飾→検査→加工」という一連の制作工程と、豊富な付加価値の高いサンプルで、現在の技術の延長線で可能とする新しいビジネスのノウハウを紹介する。桜井隆太代表取締役社長に見どころを伺った。
〝かたち〟あるマーケティングソリューションを提案
【デジタル化に捉われない技術と付加価値で差別化図る】
IGAS2018へは「Shape(シェイプ)」をテーマに出展します。“Shape”とは、「カタチをつくる」という意味です。現在、デジタル技術が大変注目されているのですが、桜井グラフィックシステムズは、見えるもの、リアルなものにこだわっていきたいと思っています。
最近の傾向として、一般的な商業印刷市場は、大変難しくなっています。その反面、パッケージ分野は必要とされており、マーケティングの観点からも、コストを掛けて制作される傾向にあります。大手化粧品メーカーの受注をしているお客様では、化粧品メーカーの売上を伸ばしていると聞いております。その企業では高級品を日本で販売し、その他はアジアで販売するというように明確に戦略を分けてパッケージ作りも行っています。こうした市場は品質検査も厳しく、加飾印刷やセキュリティ印刷などプラスαの制作を行っています。
高付加価値化という意味では、本の市場であっても、1冊あたりの製造単価を上げて冊数を減らすということがあります。その時、装丁や帯にスクリーン印刷を使うことで、デジタル印刷との差別化が可能ではないかと思います。
デジタル印刷の普及は、利便性や小ロット対応を可能にしますが、作業が簡単になるほど印刷クライアント企業の内製化も進みやすいという側面もあります。印刷クライアントにおいても、今後、セキュリティや個人情報保護のために、外に仕事を出さない仕組みとしてデジタル印刷機を設備する動きが増えるかもしれません。
今回テーマに掲げた「Shape」は、印刷クライアントが内製化できないこと、つまりダイカットや検査、セキュリティ印刷などの高付加価値化を具現化するものです。特に、パッケージ市場に向けて提案したいと思っています。これまでの既存ユーザーは複写伝票などでの利用が大半でしたが、同じ技術でパッケージ市場への対応が可能です。またセキュリティ印刷はクレジットカード、パスポート、偽造防止など様々な分野で使えます。検査についても、今後は全品検査が前提の時代になると思いますので、その自動化についても提案します。
弊社はリーマンショック以降、選択と集中を進めた結果、収益の8割以上がシルクスクリーン印刷機で占めるようになりました。顧客企業も変わり、対象としている市場が自動車、セキュリティ、クレジットカード、あるいはIoT関連ならばセンサーのデバイス、積層コンデンサー、スマホへの転用など工業製品分野が大半となっています。
IGAS2018では、リーマンショック以降培ってきた新技術で転用できるものを紹介します。例えば、検査装置やダイカット技術などを印刷会社が取り込むことで、投資のリターンが期待でき、クライアント企業が出来ない製作が可能になります。それにより納期とコストで競うのではなく、差別化に繋がります。
ブースでは、カラー印刷の後、シルクスクリーンで加飾とQRコードやセキュリティ印刷を行い、それを検査して、ダイカットで加工するという一連の流れをご紹介します。また、豊富なサンプルで、実際に出来ることをご覧頂きます。
こうした技術は、桜井グラフィックシステムズが元々培ってきた技術を横展開したものです。シリンダーのロータリー技術はスクリーン印刷だけでなく、検査装置にも、ダイカットの機械にも活用しております。オフセット印刷機の技術でもあるため、オフセット印刷のオペレーターの方が使えます。つまり、オフセット印刷のオペレーターが検査機を操作したり、ダイカットができ、多能工化が可能になります。
【常識を変えていく時代へ、儲かるための技術を提案する】
明確にお客様が儲かるための提案をしていきたいと考えています。そのためにも、導入して本当に役に立つ製品であることが肝心です。そしてエンドユーザーや印刷クライアントから一目置かれるような付加価値を高められるかが大切ではないかと思います。
究極をいうと、機械は消耗品であり手段にすぎません。大事なのは、これを使って何をするのかだと思います。すでに国内においても検査装置やスクリーンで加飾やセキュリティなどが浸透してきています。IGASに来場されるお客様の大半が、紙に印刷する企業が多いと思いますが、こうした企業様も新しい方向へ目を向けないと付加価値が生れないと思っています。
すでに出版業界などは既存のルールを破ったサービスが登場しています。1秒でも早くお客様に本が届くようにして、そこに掛かっていた取次コストが削減されています。印刷業界も従来の常識を変えたアプローチをクライアントにしていく時代にきていると感じます。印刷業界においても市場の変化を捉えながら業態変革をしていくことが求められているのではないでしょうか。
その時大切なのは客観性で、印刷クライアントが何を求めているのかです。本来、印刷クラアントが必要としている技術は企業毎に異なるはずですが、現在、印刷業が提供している機能や技術は同じです。しかし、スクリーン印刷の文化において、一つとして同じ機械は納めておらず、ニーズ毎に差別化しています。異なる対応が今後のキーポイントになると思います。
また展示会もこれからは双方向であるべきだと思いますし、企業毎に役立つシステムについて打ち合わせをすることが、展示会の役割ではないかと思います。メーカーはさらにサービス業になり、お客様に寄り添って、クライアント企業が求めているものを一緒に対応していくことが大切になってきていると感じます。
印刷という言葉にこだわるのではなく、空気以外であれば印刷できるというスクリーン印刷の本来の考え方に立つと、対応できる範囲は広がると思います。車のカタログを制作しているのであれば、なぜ計器パネルを印刷しないのか、ということです。印刷業の強みは、印刷クライアントに対して、対応できることを言える関係があるということだと思います。
社会的にも東京オリンピック以降の景気が不安視されていますが、どれだけの顧客を獲得できるのかを考慮していくべきだと思います。2020年を怖がることなく、クライアントに役立つ設備を投資される、あるいは客層を変えたアプローチをするという決断をする、大切な時だと思います。お客様が製作を伴うサービス業になろうとしている時、メーカーとしても応えていかなければいけません。桜井グラフィックシステムズは、〝かっこいい技術〟や〝かっこいいテクノロジー〟を追求するよりも、お客様の儲けるための技術について考えて、特注や顧客毎のきめ細かい対応をしていける企業でありたいと思っています。
会場では、新しいビジネスの方向性をイメージして頂くためにも、多くのサンプルをお見せします。是非、印刷クライアントの方と一緒にお越しになって頂きたいと思います。
【主な出展機種】
◎四六半裁4色オフセット印刷機OL-480SD:抜群の耐久性と最新自動化機能を併せ持つ。
◎シリンダー型全自動スクリーン印刷機MS-110DDS:インキを印刷するのではなく、機能と価値を印刷するスクリーン印刷機。UV乾燥機とスタッカー搭載。
◎印刷シート自動検査装置MS-102INS:不良を出さない仕組みではなく、不良を発生させない仕組みにする検査装置。
◎ロータリー複合加工機OL-266RCS:ワンパスで複合抜き加工ができる加工機。
◎サクライフィルムイメージセッターSIS-2800
◎印刷機稼働管理システムSakurai Smart Factory:IoTを利用し、現場をリアルタイムに把握、分析できる管理システム。