【新春メッセージ】シフトチェンジ~変革を加速する~
プリテックステージニュース 1月5日号 2018新年特集号
かつて印刷産業の成長は日本経済と同様に人口増や高成長というバックボーンで支えられていた。1997年の金融危機以降は、日本経済の低成長、少子化による生産労働人口の減少というトレンドに逆転し、印刷産業の出荷額もマイナス成長が続く。もう一つ、IT化による情報流通量の増加と、情報伝達手段の多様化は日本経済のパラダイムシフトと並び、印刷業の需要構造に大きな変化をもたらした。
情報流通を主軸とするオフセット印刷業の景色は変わった。景観が変わったことにいち早く気づき、強い危機感を持って業態変革に力を注いだ印刷会社は新しい領域を切り拓いた。それが多くの同業社の目標や指針、刺激となり、“業態変革”という名のもとに、経営革新に本気で取り組む印刷会社は10年前に比べてかなりの数に上る。しかし、顧客を取り巻く環境は、さらに早い速度で変わり続けている。
インターネットとスマートフォンをはじめとする携帯デバイスの普及は、情報量を肥大化させるだけでなく、デジタルマーケティングの世界を飛躍的に進化させた。先進企業の多くが、ソーシャルメディアやビッグデータ、そしてマーケティングオートメーションといったITツールを連携させ、秒刻みで顧客や市場を分析して販促に反映させている。
必然的に販促に使われる印刷物の機能にもスピードが求められる。マーケティング戦略のもとにDMを印刷して発送し、キャンペーン期間を経過して効果測定、評価、リトライまでに数ヵ月かかるプロセスでは、顧客が要求するマーケティング活動のサイクルに応えることができないケースも生じている。
変化のスピードはさらに増している。IoTでコンピュータとあらゆるものが繋がり、『Connected Industries』が実現することで、情報伝達の流れは加速する。紙へのアウトプットもその速度についていかなければならない。品質が良いのは当然。納期を守るのも当たり前というクライアントの期待に応えなければ、印刷の価値がさらに下がりかねない。
この十数年で、業態変革の道筋は見えてきた。今も成長する印刷会社は多かれ少なかれ、すでに業態変革を実践している。しかし、業態変革に終わりはない。むしろ変革のスピードは、さらに早めていかなければ、取り残されかねないところまできている。
変革を加速するには、社内改革と生産性の向上の両輪が欠かせない。顧客ニーズを的確に捉え、顧客の市場を知り、様々なマーケティング手法を用いて、要望に応えていく営業、そして、顧客が印刷物に期待する効果を実現する品質と、マーケティング情報をすぐに反映させた印刷物を制作する生産工程が求められる。
IoTを取り込むことで、印刷前工程は、より一層企画やデザイン、マーケティングと直結して、後加工から発送まで繋げていく。ハードで自動化できる部分は自動化する。ギアを1段上げて改革のスピードを加速させ、変化の激しい社会、市場に最適なサービスを提供し続ける存在になることが期待される。