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【令和6年能登半島地震】ジャグラ石川県支部 未だ被害の全容つかめず、気持ちしか届けられないもどかしさ

1日1日に発生した令和6年能登半島地震で、能登半島地方に甚大な被害が出ている。消息不明の人たちも多く、一刻も早い救出と地域インフラの復旧が待たれる。1月6日現在、被災地の状況がまだ明らかになっていないものの、被災した印刷会社は少なくないことが予想される。全日本印刷工業組合連合会は対策本部を設置し、情報収集に努めている。日本グラフィックサービス工業会(ジャグラ)では会員3社が被災したことを報告している。本紙では1月6日、石川県金沢市を訪問し、ジャグラ石川県支部の黒澤康憲支部長に当時の様子と支部会員の状況について話を聞いた。

1月1日16時10分、強い揺れを感じてとっさにテーブルの下に潜り込んだ。日本グラフィックサービス工業会石川県支部の黒澤康憲支部長は経験したことのない地震に不安を感じた。揺れが落ち着き、テレビを付けると金沢市内の震度は5強だったが、能登地方の震度は7を観測していた。津波警報が能登地方や富山湾に限らず、日本海沿岸の広い地域で発令された。

「翌日、ジャグラの岡本会長から支部会員の安否を心配する連絡を頂き、当時、分かる範囲で支部会員の状況を伝えました。ただ、その後、日が経つにつれて被災地域の状況が明らかになっていき、能登地方北部の被害がかなり大きいことが分かってきました」

黒澤支部長は全支部会員に連絡を取り、安否を確認。幸いにも経営者、従業員の人的被害がなく、能登半島の支部会員3社を除くと、機械のズレ、パソコンなどの落下、サーバーのダウンなどの被害にとどまった。しかし、能登半島、とくに珠洲市の会員は住宅が全壊し、避難所への避難を余儀なくされていた。道路が寸断されており、会社の状態も把握できないという。昨年5月の震度5強の地震で傷んだ社屋の補強が終わったばかりだった。

能登町の会員も道路の通行止めで会社の被害の詳細を確認できていない。社長自身は地元の消防団に所属しており、会社よりも救出作業を優先している。七尾市の会員も事務所の被害が大きく、社長は金沢市内に避難している。

「停電が続いている被災地域が少なくなく、頻繁に連絡を入れて携帯電話の電池を消耗しても申訳がないので、ショートメールで1日に1回だけ、見舞いの連絡を入れています。珠洲市の会員は近々、会社の様子を見に行くとのことでした」

会社としての人的被害はないものの、従業員の家族やクライアントが被災している可能性がある。黒澤支部長は、「生活が戻らなければ仕事も何もないでしょう。それに対して今、私たちは手を差し伸べられません。気持ちしか届けられない。できるだけ早い時期に被災した支部会員のもとへ足を運びたいです」と、もどかしい思いを打ち明ける。一方、ジャグラがいち早く、日本印刷産業機械工業会や印刷関連機器メーカー、ベンダーに被災地の優先復旧を依頼したことはありがたいと感じている。「気にかける業界の仲間が多いことを伝え、少しでも元気になってもらえれば」と述べている。

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