『エコスリージャパン』が出帆、”未来の印刷業界へ向けた価値を創造”~ 新ブランドオープニングイベント
エコスリージャパンは6月24日、東京都千代田区の在日ベルギー王国大使館で、新ブランド『ECO3(エコスリー)』を記念してオープニングイベントを開催した。ドイツに本社を置くアウレリウスグループは昨年、アグフア・ゲバルトグループとオフセット・ソリューションズ事業の譲渡に関する株式売買契約を締結。今年4月6日からアグフア・ゲバルトのオフセット事業を引き継いだECO3がスタートした。国内では6月1日付で日本アグフア・ゲバルトから『エコスリージャパン』にブランドを変更し、引き続きアグフアのオフセット関連製品、サポートを提供している。オープニングイベントには国内ユーザー約80名が出席。新ブランドの門出を祝うとともに、新たな期待を寄せた。
オープニングイベントで、駐日ベルギー王国大使のロクサンヌ・ドゥ=ビルデルリング氏は、「ベルギーと日本の国交が樹立して150年以上が経つ。年を重ねるにつれて両国間の経済活動の連携は深まっている。昨年末、大規模なベルギー経済ミッションを開催し、政治分野、ビジネス分野、学術分野の代表者約600名がベルギーから来日した。ミッション期間中には多くの協定や契約が結ばれ、両国間の結びつきの強さを示す事例となった。現在、日本でビジネスを展開しているベルギー企業は80社に及ぶ。外国企業が日本でビジネスを進めるのは容易ではないが、アグフア・ゲバルト社は70年以上に渡り日本でのビジネスを成功させた。ベルギー企業の模範的な活動だと認識しており、両国間の経済発展に貢献してきた。新しいブランドであるエコスリーとしてさらに発展していくことを願っている」と挨拶した。
本社ECO3 BVのセールス・サービス担当副社長のフレデリック・デヒン氏は、「アグフア・ゲバルトグループのオフセットの事業のドイツ・アウレリウス社への譲渡が決まり、4月6日にエコスリーのブランドとしてスタートした。今回の事業譲渡はお客様、アグフア、エコスリーにとってポジティブなものと認識している。アグフアにとってヘルスケア事業に限られたリソースを集中でき、オフセットの将来性に魅力を感じ、投資したいというアウレリウスの意向に合致した。企業としてコンパクトな規模となり、意思決定も早くなる。革新的な製品開発に投資し、お客様により良い製品、サービスが提供できる」と、事業譲渡のメリットを説明。エコスリーの名前の由来として“Economical”(効率的、かつ経済的)、“Ecological”(環境対応)、“Extra Convenience”(高い利便性)の頭文字を取ったものと紹介し、社名のもとに、それぞれ製造コストを最適化する製品の提供、環境に配慮したソリューションの提供、利便性を追求するためのソリューションの提供を進めると強調した。
アウレリウスグループがオフセットの分野に投資し続ける理由としてデヒン氏は、「エコスリーは印刷業界の未来を信じている。調査会社によると2030年にオフセット印刷の印刷ボリュームは60%を占め、ビジネスを伸ばしていけるチャンスがある」と述べ、近い将来、フレキソ分野への製品提供にも言及。「日本のプレート出荷量はフランス、ドイツ、イギリスの合計出荷量とほぼ同じだ。日本市場の要求品質はどの国に比べても非常に高い。製品、サービスが日本で成功すればどこの国でも通用する。日本の考え方を基準にして製品開発に取り組んでいく」と日本が重要な市場と位置付け、シェアの拡大を目指す意向を示した。
エコスリージャパンの岡本勝弘代表取締役社長は、「アグフア・ゲバルトグループの売上2,800億円のうち、オフセット事業が42%を占める。そのオフセット事業に関する全従業員、開発部門、製造工場がエコスリーに譲渡され、プレート、CTPセッター、ソフトウェア、セキュリティ関連の製品を引き続き提供していく。エコスリーは欧州を中心に全世界で1,600人強の人員、30以上の営業所を持つ。コーポレートアイデンティティーは“WE MAKE PRINT FIT THE WORLD OF TOMORROW”。日本語では“未来の印刷業界へ向けた価値を創造する”とした」とエコスリーの概要を説明。エコスリージャパンとしては「独創的な製品をローカライズして提供し、お客様に貢献したい。日本の要求品質は高いレベルにある。我々の意見をしっかりと伝えて製品を作ってもらう」と日本市場での役割を説明した。
ユーザー会はアグフアユーザーから『エコスリーユーザー会』と名称を変更。岡本社長は「ユーザー会は、現在、300社近い規模となった。2007年に販売を開始した現像レスプレートのアズーラや、サーマルCTPのエナジー・エリート、クラウドワークフローがビジネス拡大のトリガーとなっている。ユーザー会は私達にとって非常に大事な会。新しいロゴは3つのEがつなぐ和を表現した。今後も会を盛り上げていきたい」と力を込めた。
エコスリーユーザー会の西川誠一会長(株式会社ニシカワ代表取締役社長)は、「旧アグフアのユーザーになって20数年。この間、ベルギーとの様々な接点ができたのはアグフアとの付き合いがあったからと認識している。今後も素晴らしい体験を企画して頂きたい。このユーザー会が右肩上がりなのは、誠意と、社長をはじめとする皆さんの営業力、サポート力があったからだと思う。エコスリーとなっても不安は全く感じていない。日本のマーケットで暴れて頂くことを期待している。我々ユーザーも期待に応え、エコスリーとともに歩み、成長していきたい」と述べた。
懇親会では乾杯の挨拶に立った株式会社ダイコロの松本秀作代表取締役社長が「エコスリーの皆様にとって素晴らしいスタートになったことをお祝い申し上げる。新ブランドの発表は良いタイミングだと思う。この3年間の大変な時期が過ぎて、経営者として時代の責任といえない状況となった。エコスリーに支えてもらい、ますます印刷業界を盛り上げて頂きたい」と期待の言葉を寄せて杯を挙げた。