山藤三陽印刷 ハイデルベルグ・ジャパンの印刷ワークフロー自動化ソリューション「プリネクト」を導入 全自動断裁システム「PACE」との連携により生産性向上と働き方改革を同時実現
老舗印刷会社である山藤三陽印刷株式会社は、ハイデルベルグ・ジャパン株式会社から印刷業界向けのワークフロー統合プラットフォーム「プリネクト(Prinect)」を導入している。プリネクトは、受注から製造、出荷までの印刷工程を一貫して管理・自動化できる中央システムであり、生産性向上と品質管理の強化、さらに従業員の働きやすい環境づくりにおいて大きな成果を挙げている。
今回、同社ではプリネクトの導入に加えて、ポーラー社製の全自動断裁システム「PACE」を連携させることで、印刷現場全体の自動化をさらに推進している。
プリネクトの導入でジョブ処理数が5倍に 刷新されたワークフローの成果
従来のワークフローは工程間で情報が断片化しており、業務の効率化や時間短縮には課題があった。こうした状況を受け、山藤三陽印刷は業務全体の基幹システムとしてプリネクトを導入。工程の統合によってジョブ処理数は大幅に増加し、ある月には前々月比で5倍を記録する成果が見られた。
全自動断裁システム「PACE」の導入効果 残業時間を前年比50%削減
断裁工程においても改善が進んでいる。これまで重量のある用紙を扱う作業では、時間が経つにつれ作業効率が低下し、残業が常態化していた。しかしPACE導入後は、作業の安定性が増し、結果として残業時間が前年比で約50%削減された。
山藤三陽印刷の吉田製造本部長は、「オペレータの笑顔が増えた」と現場の雰囲気の変化を語るとともに、「PACEシステムは人間の動きを研究したプログラムが組み込まれており、ロボットのように絶妙なタイミングで作業をサポートする」とその先進性を評価している。
断裁工程の熟練依存を解消 プリネクトとコンピュカットの連携で最適化を実現
断裁作業では、プリネクトが生成する面付データを活用し、コンピュカットソフトウェアと連携して断裁プログラムを自動生成する仕組みが整えられている。これにより、従来必要とされていた熟練オペレータの判断を不要とし、断裁ミスの削減と作業の標準化が進んでいる。
精神的な負担の軽減も実現されており、現場全体の作業効率と品質管理の向上が図られている。
印刷現場の完全自動化へ向けた第一歩 プリネクトが司令塔に
山藤三陽印刷では、将来的な人手不足や安全性の課題を見据え、製造現場の完全自動化を長期目標として掲げている。
吉田本部長は、「数年後に社内通路はAGVが製品を次工程へ運搬している姿、各製造機器にロボットが付いて作業しているという姿を日々想像しています。PACE断裁システムは、その理想の第一歩であり、今後プリネクトは各工程ロボットの司令塔となると思います」と述べている。