オフィス知識 印刷現場の静電気トラブルを根本解決、風を使わず広範囲に除電する「放射式除電装置」とは? 紙詰まり・インキ汚れ・搬送停止の原因を防ぐ次世代技術
オフィス知識は、印刷業界を中心に経営支援や技術サポートを行う中で、業界初の技術として注目される「放射式除電装置」の開発と提供にも取り組んでいる企業である。
同社が手がける放射式除電装置は、従来の方式とは異なり、電気力線による空間除電を実現する仕組みで注目を集めている。
同装置は株式会社モトヤが販売代理店を務めている。
▶資料請求・お問い合わせはこちら
静電気はなぜ発生するのか? 印刷現場が直面するリアルな課題
印刷現場で、静電気はしばしば生産性や品質に大きな影響を及ぼす。特に給紙・排紙時には、原反同士の貼り付きや紙詰まりといったトラブルが頻発する。これらは静電気が引き起こす代表的な現象である。さらに、インキの飛散やヒゲ汚れといった印刷不良も深刻な課題となっている。また、乾燥が不十分なインキ塗膜が静電気によって引き寄せられ、印刷物の周囲にインキがはみ出す現象が報告されている。高速搬送中の原反の動きにも影響を及ぼし、搬送の途中で停止やズレが生じると、ライン全体の稼働に支障をきたす恐れがある。
従来の除電装置はなぜ限界があるのか? 現場の声から見えた課題
従来型の除電装置として広く使用されているイオナイザーは、エアーを用いてイオンを対象物に吹き付ける方式が一般的である。
しかしこの方式では、風が届く範囲にしか効果がなく、入り組んだ構造や立体的な製品への除電には限界がある。また、放電によりオゾンが発生することで作業環境を悪化させる懸念もある。加えて、電極部が酸化・劣化しやすく、定期的な清掃や部品交換といったメンテナンスの手間も課題として挙げられている。
業界初の技術「放射式除電装置」とは? 印刷現場の救世主登場
こうした課題に対し、オフィス知識が開発したのが「放射式除電装置」である。最大の特徴は、風を使わずに電気力線を放射することで除電するという点。空間中でイオン化が進むことで、表面のみならず立体物の裏側にまで効果が及ぶという。
使用される電圧も微弱で、オゾンの発生が抑えられるほか、電極の摩耗もほとんどない。この仕組みにより、インキの飛散や用紙の貼り付きといった現場で頻発していた問題への対処が可能になる。
電気力線とは何か? 放射式除電の基礎をわかりやすく解説
放射式除電装置の中心技術となるのが、「電気力線」を用いた除電方法である。これは、電極から放射される目に見えない力の流れであり、帯電している物体に作用して静電気を中和する。
印刷現場での除電において、電気力線には以下のような特性と効果が確認されている。
- 風を使わずに除電が可能:微風すら発生させず、空間に静かに作用するため、クリーンルームや微粒子を嫌う環境にも適する。
- 立体物の裏面にも効果が届く:風が届かない箇所や形状が複雑な対象にも電気力線が回り込んで作用する。
- 逆帯電が起こりにくい:電気力線の構造上、一度除電された物体に対しては再度帯電させる力が働かない。
- オゾンが発生しない:火花放電が発生しない構造のため、装置周囲の空気が酸化されず、作業環境を清潔に保てる。
- 電極の劣化が少ない:針先からイオンを放射する構造ではないため、摩耗や腐食のリスクが低く、メンテナンス頻度も抑えられる。
これらの特性は、従来のエアー式イオナイザーでは難しかった静電気除去を可能にし、印刷現場特有の課題解決に直結する。
放射式除電装置の詳細特性|印刷現場に適した高機能が多数
放射式除電装置には、印刷・加工工程における実運用を考慮したさまざまな特性が備わっている。
- 静止物にも高速移動物にも対応:除電効果が瞬時に立ち上がるため、停止状態の原反から、高速で流れる紙やフィルムまで対応可能。
- 最大3m先まで効果が届く:送風を用いずとも除電効果が届くため、装置の設置自由度が高く、既存ラインへの後付けもしやすい。
- 火花放電なし・安全性が高い:電極から直接電気力線を放出する構造により、放電時のスパークがなく、安全性と耐久性を両立。
- クリーンルーム対応:オゾンが発生しないため、食品包装、医薬品、精密機器などの分野でも活用されている。
- 除電対象に合わせて電極を調整可能:紙器、PET、アルミ蒸着、ラミネート材など、多種多様な素材に柔軟に対応。
このように、印刷業界をはじめ、静電気の制御が求められる製造分野全般において応用できる柔軟性が、放射式除電装置の大きな魅力となっている。

導入実績6,500台超え! 印刷・紙器分野での活用例と導入効果
放射式除電装置は、開発から約15年の間に累計6,500台以上を販売。特にオフセット輪転機やラベル印刷、ラミネート、断裁などの工程で高い評価を得ている。
印刷ラインでの適用により、静電気由来の品質トラブルや機械の停止回数が減少したという声も多く、結果として設備の稼働率や生産効率の向上につながっている。なお、印刷分野以外にも、フィルム加工や樹脂製品、電子部品の製造現場など、静電気の影響を受けやすい幅広い分野での導入も進んでいる。

除電可能な距離は最大3メートルほどとされ、特に静止物や時間をかけて除電が必要な「シーズニング処理」などにも効果を発揮している。高速搬送中の紙やフィルムにも瞬時に対応できる性能があり、設置スペースの自由度やメンテナンス性の高さも現場の担当者から好評を得ている。
印刷現場の除電対策として注目される理由とは
放射式除電装置は、風を使わず空間に作用する電気力線を活用することで、静電気の影響を受けやすい印刷用紙やラミネートフィルムといった原反への効果的な除電が期待されている。実際の導入現場では、高速搬送や複雑な製品形状にも対応可能な除電性能が評価されている。
除電によるトラブル低減や、設備の安定稼働を支える要素として、同装置は静電気対策を検討する現場において注目される存在となっている。印刷現場に特有の課題に対応できる技術として活用していきたい。


