2015年版中小企業白書 消費増税、原料価格上昇が売上高に影響

中小企業庁の「2015年版中小企業白書」が発表されている。

それによると、経営環境としては、アベノミクスの効果が現れる中で行われた、2014年4月の消費 税率引上げの影響などがあったものの、円安方向への動きを背景とした輸出の持ち直し、企業収益の回復、雇用環境の改善も見られ、景気全体としては、足下では緩やかな回復基調が続いている。
しかし、中小企業・小規模事業者は、相対的に厳しい経営環境に置かれている。消費税率引上げ後の駆け込み需要の反動減や、原材料・エネルギーコストの上昇の影響もあり、企業の業況や採算に関する指標には弱い動きも見られた。
中小企業・小規模事業者の業況に最も大きな影響を及ぼした要因の一つである消費税率の引上げ前後では、駆け込み需要とその反動が生じ、日本経済に大きな変化が生じた。

日本政策金融公庫総合研究所「中小企業景況調査」及び「全国小企業月次動向調査」による消費税率引上げ前後の中小企業・小規模事業者の売上DIの動きを見ると、今回の消費税率引上げは前回よりも引上げ前後の影響がより顕著に出る結果となっている。また中小企業の中でも、とりわけ小企業は大きな影響を受けている。

中小企業庁が平成26年4月から行っている転嫁状況に関する事業者へのアンケート調査によると、2015年2月時点では、事業者間取引については85%、消費者向け取引については76%の事業者が「全て転嫁できている」と回答。その一方、事業者間取引については3%、消費者向け取引については4%の事業者が「全く転嫁できていない」とあり、今回の消費税率引上げが、中小企業・小規模事業者の売上等に影響をもたらしている。

また 2014年は、原材料・エネルギー価格の動向、為替の動向が、企業の業況に大きな影響を与えた。

原材料・エネルギーコストの増加が、とりわけ中小企業・小規模事業者の収益を強く圧迫していることが懸念されたことから、中小企業庁は全国の商工会、商工会議所、中小企業団体中央会を通じて、原材料・エネルギーコストの増加による中小企業・小規模事業者への影響調査を実施した。それによると、2013年10月頃と比べて、経常利益が「増加」と答えた企業の割合は38.8%である。
一方、「減少」と答えた企業の割合は47.6%となった。「減少」と答えた企業の割合が多かったのが、小売業、運輸・郵便業、サービス業、卸売業、生活関連型製造業、基礎素材型製造業。経常利益が減少した企業の減少の要因を見ると、最も多いのが「原材料・エネルギーコストの変化」で62.9%、次に多い要因が、「売上高の変化」の54.0%だった。

関連記事

最新記事